白梅の花々しばらく見比べて清楚な一花を「推し花」とする
十数年ぶり(もっと前?)に蛇崩川緑道(三軒茶屋〜中目黒)を歩いた。まだ花のない季節で白梅が一番目立っていた。
以前は佐藤佐太郎の歌に感化されて歩いたのだが、今回すっかり忘れて彼の歌碑も見落としてしまった。
晩年の佐藤佐太郎が散歩したときにはまだ蛇崩川は開渠で流れていた。
川沿いの道を歩いたのだろうが、たぶん土の道でのどかな風景だったのだろう。
左岸が丘になっていてそこに上る坂もわりと急で足弱の老人にはきつかったのではないか。
最晩年の歌に、
近く死ぬわれかと思ふ時のあり蛇崩坂を歩みゐるとき
というのがあるが、彼の散歩のお供は「死」だったのかもしれない。
蛇崩坂という名前の坂はないようだ。