日陰から日陰に移り熱冷ましてまた目的地へと向かう午後
Wednesday, June 29
Tuesday, June 28
Monday, June 27
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』
生命に目的ありや、あるならば宇宙が己に気づくことかも
最高のSFエンタテインメント小説。とにかく面白いの一言。
地球の危機を救うために人類の代表が冒険の旅に出るというテッパンのストーリーだが、主人公の置かれた状況がユニーク。
まず主人公がある奇妙な部屋で目覚めるところから物語が始まる。覚醒した彼のそばには二人の死体が横たわっている。
なぜか彼には豊富な科学的知識と経験がある。自分が置かれている状況を科学的に分析して、宇宙船の中にいることがわかる。
死んでいる二人はこの宇宙船のクルーで、彼らが生きていた頃の親しい交流も思い出す。宇宙船の中の様々な問題に対処しながら彼は過去のことを少しずつ思い出していく。
彼は、地球の危機を救う手がかりを求めて、地球から1.9光年離れたタウ・セチ星系に13年かけてたどり着いたのだった・・・。
やがて主人公は自分の名前(グレース)やミッションを思い出すのだが、危機に瀕していたのは地球だけではなく、同じように危機に直面して宇宙船をタウ・セチに送り出している知的生命体があったのだ。
その異星人とのコンタクトが面白い。異星文明とのコンタクトというと、『三体』の「暗黒森林理論」を思い出すが、ここではまったく正反対の展開となる。つまり、信頼と協調のストーリーだ。
地球人グレースと異星人ロッキー(グレースが勝手に命名)とのバディ・ストーリーが楽しい。
幾多の困難が二人の信頼と友情を強化するという、これまたテッパンの物語なので、人類(いや知的生命体)なら感動しないわけにはいかない。
物語の根底には「パンスペルミア説」があるのだが、はやぶさ2が持ち帰ったサンプルの中にアミノ酸があることが発見されたりと、現在の方向としては間違っていないのでは。
生命は、思ったよりも普遍的な現象なのかもしれない。そして案外「心」もそうかも。
Saturday, June 25
Friday, June 24
Thursday, June 23
Wednesday, June 22
Tuesday, June 21
Monday, June 20
Sunday, June 19
Saturday, June 18
Friday, June 17
Thursday, June 16
Wednesday, June 15
Tuesday, June 14
タケニグサ
お滝さんだけではないよ、シーさんが見初めたタケニグサの花ですぞ
勤務先の最寄りの駅の反対側にタケニグサの小さな群生地がある。久しぶりに見に行ったらちょうど花盛り。
『江戸東京草花図鑑』によると、タケニグサは日本の在来種で、シーボルトがヨーロッパに持ち帰って園芸種として広まったという。イングリッシュ・ガーデンでは欠かせない存在だというから驚き。
きれいな花なのだが、私が写真を撮っていても通行人は誰一人として見ようとしない。なんで雑草の写真撮ってるの?かな。
雑草だと思うと草花が見えませんよー。
Monday, June 13
Sunday, June 12
Saturday, June 11
『いつかたこぶねになる日』
たこぶねの残せし貝の麗しく男ら悲しく空蝉に懸く
『いつかたこぶねになる日』(小津夜景著)を読んで。
漢詩の本は何冊か読んだがこんな本は初めて、もちろんいい意味で。
漢詩というと、伝統的に訓読を前提として読み味わってきた。作る人は、面倒な平仄のルールなどを覚えて作らねばならない。
明治期ならおおぜいの日本人が漢詩を作っていたのだろうが、今日では作る人は少ないだろう。短歌や俳句などに比べると、はっきり言ってマイナーな文芸である。
その漢詩を俳人である著者が、他の詩歌と分け隔てなく味わい、自作の訳詩を添えて解説したのが本書。
題名にある「たこぶね」は、きれいな貝殻を作るタコのことで、メスだけが貝を作り、やがてその貝を捨て去るという。
それを女性の自由な生き方の象徴ととらえたのが、アン・モロウ・リンドバーグだ。彼女の著作『海からの贈物』の1章に「たこぶね」がある。
著者は南仏に暮らしているそうだが、まさに「たこぶね」的人生を実践する人と言っていいだろう。
著者が、蘇軾の「春夜」につけた訳詩がすばらしい。
はるのよる
はるのよの ひとときは
かけねなき ゆめごこち
春宵一刻値千金
きよらかに かおるはな
ほんのりと かげるつき
花有清香月有陰
うたげなす たかどのの
ほそぼそと ねはとどき
歌管楼台声細細
なかにわの ぶらんこに
しんしんと よはふける
鞦韆院落夜沈沈
(『いつかたこぶねになる日』(小津夜景)より引用)
Friday, June 10
Thursday, June 9
Wednesday, June 8
Tuesday, June 7
Monday, June 6
Sunday, June 5
Saturday, June 4
Friday, June 3
Thursday, June 2
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