雑草も陣取り合戦セイタカとススキ独裁国家はどっち?
『雑草たちの陣取り合戦』(根本正之著)を読んで。
雑草たちも生き残るために陣取り合戦をしているが、その戦略はそれぞれ。
セイタカアワダチソウは、陣地拡大型で、草丈を2メートル以上に伸ばし光を独占するとともに、地下茎で周囲にどんどんと広がっていく。
ススキも草丈を2メートル程度に伸ばし、その陣地をしっかりと確保するが、地下茎で広がることはない、陣地強化型。
セイタカアワダチソウの葉は上部は小さく光が通るが、下部は葉が密で光が通らない。根本で他の小さな雑草が育つのは難しいので、セイタカアワダチソウだけの独占群落となりやすい。
さらにその落葉には植物の発育を阻害するアレオパシー物質が含まれて、他の草がその下で育つのはさらに困難になっている。
ススキは葉が大きく垂れてまわりの個体は光不足で生長できない。その群落は密集しないので、あまり光を必要としない草ならば共存可能である。
また屋根ふき用のススキを人々が採取することによってさらに間引かれて結果としてススキの独り勝ち防いできた。
これが日本の古来のススキ原の風景だった。
かつては外来種のセイタカアワダチソウが固有種のススキを駆逐していると危惧されていたが、近年はセイタカアワダチソウの勢いが落ちて劣勢になっているという。
それはアレオパシー物質の自家中毒だと言われているが、何だか独裁国家の末路を見るようだ。