Monday, January 31

沈丁花のつぼみ


たくさんの赤紫のつぼみたち沈丁花の花開く日は近い

だんだんと日が長くなってきた。ふと見ると植え込みに赤紫のジンチョウゲの蕾がたくさん見える。春はそこまで来ている。

Sunday, January 30

薪の束


屋敷林ある庭先に薪あり一束百円誰が買うのか

近所を散歩。屋敷林のある農家の庭先に薪が置かれて一束百円と書いてある。まわりはほとんど住宅街だが買っていく人がいるのだろうか?

Saturday, January 29

スマホの突然死


突然死されたら後が大変と予兆があって機種変をする

スマートフォンの調子が悪くなってきた。今ここで止まったら仕事上とても面倒なことになるので、急いで機種変更をした。しかし各種設定がまだ終わらない。

Friday, January 28

走る特急


キタキタと告げてるような音立てて走る特急いずこへ急ぐ

特急が一路都心を目指して走る。車両の音がキタキタと聞こえるのは何かが自分に向かってやって来ているからだろうか。

Thursday, January 27

もやもやを


もやもやをかかへていけばどこからかげんきだせよとろうばいにほふ

もやもやを抱へて行けばどこからか元気出せよとロウバイ匂ふ

心が晴れない日が続く。いつもの道を歩いていくとどこからかロウバイが匂ってきた。花を見つけてしばらく見ているだけで心が軽くなった。

Wednesday, January 26

えだのない


えだのないばうぐひみたいなきはなにかとてつぺんみればこうばいのはな

枝のない棒杭みたいな木は何かとてつぺん見れば紅梅の花

枝がほとんど伐られた木。何の木かなと上を見ると木の頂きから細い枝が出て花が咲いている。紅梅の花だった。

Tuesday, January 25

このまちで


このまちでおちばをふんでゆりのきにであつたごぐわつはそのはなみやう

この街で落葉を踏んでユリノキに出合つた五月はその花見やう

昨年4月から立ち寄ることになった商店街。GWの頃、通りにユリノキの花が咲いていたはずなのにまったく気づかなかった。落葉でユリノキの存在を知った。今年の5月にはしっかり花を見てみよう。

Monday, January 24

はだかぎの


はだかぎのこずゑはゆふひにかがやいてかほをあげればうれひもなごむ

裸木の梢は夕陽に輝いて顔を上げれば憂ひも和む

日没が日に日に遅くなって春が近づいているなあと思う今日この頃。あたりが明るいと心も暗いままではいられないのがありがたい。

Sunday, January 23

つかまへて


つかまへてやらうとおもふなくるものもじぶんとおもつてただであふのみ

捕まへてやらうと思ふな来るものも自分と思つてただ出合ふのみ

『謎ときサリンジャー』を読んで。『ライ麦畑でつかまえて』のホールデンは、遊ぶ子どもたちが落ちないように捕まえてやろうと思った。それは落ちる自分を捕まえてほしいという気持ちの裏返しでもあった。捕まえる方と捕まえられる方という二分法自体が不本意な生き方であり、交換可能な両者が「出合う」ことこそが人の本意である、と解釈したがどうか。

Saturday, January 22

きのしたに


きのしたにかみくずちらかりそのままにしてゐるのはなぜぎんどろでした

木の下に紙くず散らかりそのままにしてゐるのは何故ギンドロでした

気になっていたメキシコ料理店のシンボルツリー。何の木かと近寄ってみると木はすでに落葉した後。そしてその下には紙くずが撒き散らかされている。なぜ掃除しないのかこの店はと呆れたが、よく見るとそれは葉っぱの形をしている。それは紙くずではなく落葉だった。調べてみるとその木はどうやらギンドロ(ウラジロハコヤナギ)らしい。失礼しました。

Friday, January 21

むさしのの


むさしののふるいやしきのおほけやきむすこけどるくのもじにもみえる

武蔵野の古い屋敷の大ケヤキ生す苔ドルクの文字にも見える

屋敷の入口に向かって並ぶ大きなケヤキ。そこに生している青苔が何やら文字か記号のように見える。土鬼(ドルク)の神聖文字のように見えるのはナウシカ好き過ぎか?

Thursday, January 20

えだいつぱい


えだいつぱいそらにひろげてけやきたちせいせいしてるふゆばれのけふ

枝いつぱい空に広げてケヤキたち清々してる冬晴の今日

多摩川付近。ケヤキの木が大きく枝を広げている。いわゆる箒の形のケヤキらしい樹形も広々とした場所のケヤキの特権だろう。

Wednesday, January 19

はかいしを


はかいしをたふさんばかりのふるひのきなにかいはれがあるのだらうか

墓石を倒さんばかりの古ヒノキ何か謂れがあるのだらうか

住宅地にある小さな古い墓地。たぶん近くの家のものなのだろう。ヒノキ(あるいはアスナロ)が墓石の後ろにあって根が盛り上がって墓石を持ち上げている。墓にヒノキとは珍しいなと思いながらしばらく見ていた。

Tuesday, January 18

かりんのみ


かりんのみいくつかかごにいれられてのこりはきにありみまもるめあり

カリンの実いくつか籠に入れられて残りは木にあり見守る目あり

一本のカリンの木がある庭。枝には大きな実がいくつかついていた。放置されているのかなと思って見ると下の台に数個実が盛られていた。カリン酒にでもするのであろうか。

Monday, January 17

いいぎりの


いいぎりのあかいみやつぱりまづいのかひよどりちよつとついばんでさる

イイギリの赤い実やつぱり不味いのかヒヨドリちよつと啄んで去る

烏山。絵画教室のイイギリを見に行ったら鈴なりの実がほぼそのまま残っていた。しばらく見ていたらヒヨドリが一羽やって来て実を啄んでいる。しかし2,3口食べるといなくなった。やはり赤い実は見掛け倒しで不味いようだ。できるだけたくさんの鳥に少しずつ種子を運んでもらおうという戦略らしい。赤に惹きつけられる鳥を笑えない。

Sunday, January 16

まつしろに


まつしろになつてもにらのがくちらずわづかにのこるしゆしなほいだく

真つ白になつてもニラの萼散らずわづかに残る種子なほ抱く

用賀あたり。秋に白い花を咲かせていたニラも今は白骨のように真っ白。それでも萼にはまだいくつか黒い種子を残している。白と黒のコントラストが美しい。が、ニラにしてみたら、大切な種をできるだけ遠くに飛ばそうとチャンスを伺っているに違いない。Ha en bra chans!

Saturday, January 15

やまならしの


やまならしのはおとになみだするによにんじゆなんのみちゆくわれらにかはり

ヤマナラシの葉音に涙する女人受難の道行く我らに代はり

『オーバーストーリー』を読んで。巨樹を守ろうとする人々の受難の物語。そのうちの一人、植物学者パトリシア・ウェスターフォードは樹木同士が何らかの形でコミュニケーションを取っているという新説を発表して学会を追放される。各地を放浪する彼女はヤマナラシ(カロライナポプラ)の森で、クローンとなった森が生きる場所を求めて少しずつ移動している姿に感動する。しかし人間の開発が彼らの息の根を止める日はそう遠くない。10万年以上前から根茎を延ばしてきた偉大な生命体の終焉を思って彼女は涙する、全人類に代わって。

Friday, January 14

きたかぜに


きたかぜにはだかのけやきらあらがはずおどるがごとくえだたわませる

北風に裸のケヤキら抗はず踊るがごとく枝撓ませる

甲州街道のケヤキ並木。強い北風が吹いている。裸のケヤキの枝が風に揺れ動いているが、何やらゆらゆらと踊っているようだ。抗わない生き方。

Thursday, January 13

いそぐみち


いそぐみちにはきにきいろいたまいつぱいなにかととまればろうばいつぼむ

急ぐみち庭木に黄色い玉いつぱい何かと止まればロウバイ蕾む

急いで駅に急いでいるとき、黄色い玉のようなものが庭木にたくさんついている。気になって立ち止まって見るとロウバイの蕾だった。何度も通った道だが気がつかなかった。でもこれでお知り合いだ。

Wednesday, January 12

えだすべて


えだすべてきられてほそいえだをだすでんちゆうみたいなきよどうしたい?

枝すべて伐られて細い枝を出す電柱みたいな木よどうしたい?

烏山あたり。小さな公園に立木が何本か。すべて枝を付け根から伐られている。付け根は瘤となり、そこから針金のような細い枝が何本も出ている。なぜそこまで伐るのか。まさか落葉対策?

Tuesday, January 11

いまだはを


いまだはをたくさんのこすはりえんじゆきつとそのねはすいみやくをしる

いまだ葉をたくさん残すハリエンジユきつとその根は水脈を知る

二子玉川。用水路の跡と思われる散歩道。何本かのハリエンジュが立ってるが、そのうちの一本だけがまだ葉を残している。それも少なからず。根が水を十分に吸い上げることができるからだろうか。

Monday, January 10

やしきりん


やしきりんあるげんくわんであまなつのむじんちよくばいひやくゑんちやりん

屋敷林ある玄関で甘夏の無人直売百円ちやりん

近所の散歩道。りっぱな屋敷林のある農家の前を通りかかる。玄関先に甘夏が2,3個ずつビニール袋に入れて置いてある。一袋百円とある。横にはお金を入れる木箱。盗んでいく不心得者はいないのだろう。見えない信頼関係。百円を木箱に入れてちょっと気分がいい。お賽銭みたい。

Sunday, January 9

とほめにも


とほめにもまつかにみえたもちのきのみはきえしゆしたちもうすだつたか

遠目にも真つ赤に見えたモチノキの実は消え種子たちもう巣立つたか

用賀。久しぶりに見ると真っ赤な実をたくさんつけていたモチノキの実が見えない。きっと鳥たちに食べられて種子散布の旅に出たのであろう。

Saturday, January 8

きはひとや


きはひとやいきものたちのせいめいのささへせんのきなぜきられるか

木は人や生きものたちの生命の支へ千の木なぜ伐られるか

多摩川せせらぎ公園。久しぶりに行くと工事中だった。何の工事かとネットで調べるとせせらぎ公園内の木を大量に伐採して体育館を建てる計画があるという。1300本近くの木が伐採されるようだ。暗澹たり。

Friday, January 7

すいせんの


すいせんのはなはぐにやりとあたまたれみえないゆきがまだあるみたい

スイセンの花はぐにやりと頭垂れ見えない雪がまだあるみたい

雪の翌日。日陰にはまだ雪が残っている。スイセンの花は頭を垂れている。そうやって柔軟に雪をやりすごしているのかもしれない。

Thursday, January 6

とうきやうに


とうきやうにゆきふるこんやのあつまりはふえうふきふでみななつとくす

東京に雪降る今夜の集まりは不要不急でみな納得す

今日は南岸低気圧のために都内にも雪が降り積もった。今日は夜に定例の集まりがあったのだが、坂の多い場所でもあり、メンバーからも止めませんかの声が出て中止となった。今日こそ「不要不急の外出はやめましょう」の日だ。

Wednesday, January 5

くわじゆゑんに


くわじゆゑんにむなしくおちてくさつてくかりんのみたちひろつてあげたい

果樹園に虚しく落ちて腐つてくカリンの実たち拾つてあげたい

用賀の果樹園。いろんな木の中に一本のカリンの木があった。黄色いカリンの実がいくつか枝に残っているが、樹下を見ると落ちた実が散在。中には変色して腐っているものもある。何か活用できないのかなあと思いながら柵の外から見ていた。

Tuesday, January 4

ぱんくずを


ぱんくずをはとにまいてたこどもらのずじやうをかもめととんびがおほふ

パンくずをハトに撒いてた子どもらの頭上をカモメとトンビが覆ふ

山下公園での光景。子どもたちの頭上にカモメの群れとトンビ数羽が海風に逆らってとどまっている。子どもが撒いているパンくずを狙って集まってきたようだ。カモメはともかく、トンビをこんなに目前で見るのは初めてのこと。人が集まってきてしばらく天然の見世物となった。


みきとけてまはりのてつわくのみこんでゐるぷらたなすいまうごきさう

幹溶けて周りの鉄枠飲み込んでゐるプラタナス今動きさう

中華街のあたり。ビルの前のプラタナスの木。鉄枠が狭すぎるのか、まるで幹が溶け出して鉄枠を飲み込んでいるような木があった。斑模様の樹皮もあって、何だか今にも動き出しそうな気配。

Monday, January 3

ばずーかの


ばずーかのさきはかはべのかれすすきみつけてこゑでるかわせみのいろ

バズーカの先は川辺の枯すすき見つけて声出るカワセミの色

川べり散歩。バズーカカメラを向けている人がいた。まさかとその方向を見ると、枯れすすきの中に青緑色のカワセミがいるではないか。しばらくしてカワセミは水に飛び込んで魚を捕まえた。カワセミの餌場らしい。新春からいいものを見た。パンパン(参拝)👏

Sunday, January 2

イイギリの実


鈴なりの赤い実見事なイイギリに昔は気づかず走れた頃は

昔ランニングのコースだった道を歩く。自然公園の中の道だが今日歩いていて赤い実をつけたイイギリを見つけた。走っていた頃は、それはただの木にしか見えなかったのだろう。走れなくなって気づく風景。

Saturday, January 1

初富士


丹沢の山並みくつきり後ろからちよつと頭が見えて初富士

元旦。駅舎が新しくなった駅。ギャラリーから丹沢の山並みがくっきりと見える。夕日に照らされて富士山の頭が少しだけ見える。初富士。