『美しの首』
猿曳とお姫さまとの道行は雨が止むまで夢覚めるまで
近藤ようこの『美しの首』を読んで。
「美しの首」「雨は降るとも」「安壽と厨子王」「玉鬘」の4篇からなる。いずれも男女の不思議なエロスを描く漫画。
「雨は降るとも」は、戦国の世が終わり太平の世が始まった頃、遊び人の婚約者よりも誠実な猿曳の若者のともへ走るお姫さまの物語。
美しい恋の物語の終わりは見えている。おそらく猿曳は(彼の予想どおりに)「臼を抱えた猿」と同じ運命をたどるのだろう。
雨に降り込められた二人に残酷な別離と死が忍び寄る。