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Wednesday, March 9
『羊は安らかに草を食み』
難民は今もどこかを歩みたりかつて我らも満洲逐わる
『羊は安らかに草を食み』(宇佐美まこと著)を読んで。
満洲から命からがら逃げ延びた日本人たちの壮絶な逃避行を描いている。
80年近く前のことだが、その野蛮や残酷を体験し記憶している人もいる。
本書は、認知症にかかった老女の旅を通してその苛酷な現実を追体験する物語だ。
地獄のような死地で苦しんだ人々の中に、もしも自分がいたとしたらどうだろうか。
逃げる自分か、襲われる自分か、殺される自分か、殺す自分か、あるいは奪う自分か。
Saturday, January 15
やまならしの
やまならしのはおとになみだするによにんじゆなんのみちゆくわれらにかはり
ヤマナラシの葉音に涙する女人受難の道行く我らに代はり
『オーバーストーリー』を読んで。巨樹を守ろうとする人々の受難の物語。そのうちの一人、植物学者パトリシア・ウェスターフォードは樹木同士が何らかの形でコミュニケーションを取っているという新説を発表して学会を追放される。各地を放浪する彼女はヤマナラシ(カロライナポプラ)の森で、クローンとなった森が生きる場所を求めて少しずつ移動している姿に感動する。しかし人間の開発が彼らの息の根を止める日はそう遠くない。10万年以上前から根茎を延ばしてきた偉大な生命体の終焉を思って彼女は涙する、全人類に代わって。
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