Saturday, December 4

こはるびを


こはるびをせなかにうけてぐちをきくわたしはそつとふぢだなをみる

小春日を背中に受けて愚痴を聞く私はそつと藤棚を見る

兵庫島のベンチで。同じ立場であればその愚痴に私も心が動いたであろう。愚痴は悪口ではないが、やはりどこかでそれは止めなければならない、無限のループに陥る前に。枯れかかった藤棚をそっと見上げた。


うまれてもひたすらたへてしゆしのこすそれもいつしやうなづなのやうに

生まれてもひたすら耐へて種子残すそれも一生ナズナのやうに

『したたかな植物たち』を読む。ナズナは、秋冬はロゼットで地面に張り付いて寒風に耐え、春になると大急ぎで茎を天に伸ばし花を咲かせ種子を残してあっという間に消えていく。短い波乱の一生だという。(個体によっては秋まで花をつけているノンビリ屋さんもいるらしいが・・)