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Sunday, January 16

まつしろに


まつしろになつてもにらのがくちらずわづかにのこるしゆしなほいだく

真つ白になつてもニラの萼散らずわづかに残る種子なほ抱く

用賀あたり。秋に白い花を咲かせていたニラも今は白骨のように真っ白。それでも萼にはまだいくつか黒い種子を残している。白と黒のコントラストが美しい。が、ニラにしてみたら、大切な種をできるだけ遠くに飛ばそうとチャンスを伺っているに違いない。Ha en bra chans!

Friday, December 31

かなあみに


かなあみにまつばいくつもはさまつてかぜにふかれておほみそかです

金網に松葉いくつも挟まつて風に吹かれて大晦日です

いよいよ大晦日。寒いなか近くの本屋まで歩いていると金網にたくさんの松葉の又が挟まって風に吹かれている。なるほど金網が柵か。


しゆしじゆくすときまでちらずかれはたちかぜきてしゆしとさいごのたびへ

種子熟すときまで散らず枯葉たち風来て種子と最期の旅へ

『足元の小宇宙』を読む。著者の埴沙萠さんはすでに亡くなっているが、一生を植物研究に捧げた人物。ケヤキの枯葉はすぐに散らずに、種子が熟したときに枝から離れて、ひとかたまりになって羽の役割を果たして種子をできるだけ遠くに運ぶという。進化のしくみと言ってしまえばそれまでだが、我々の愛情ももとは単純な「しくみ」かもしれない。

Sunday, December 12

さるすべり


さるすべりはだかのえだのしゆしたちはかぜまちとりまちふたまたかける

サルスベリ裸の枝の種子たちは風待ち鳥待ち二股かける

サルスベリの街路樹。すっかり葉を落とし種子がたくさん残っている木もあれば、ほとんど残っていない木もある。種子の翼を使って風に乗って飛ぶか、鳥に食われるのを待つか、それぞれの木の戦略があるのかな。


まどのそとまろにえのはなさいてちりしげりのはもおちあんねはのぞむ

窓の外マロニエの花咲いて散り繁りの葉も落ちアンネは望む

『アンネの木』という絵本を読んだ。アンネ・フランクが1942年7月から1944年8月まで暮らしたアムステルダムの隠れ家の裏庭には一本の木があった。アンネは窓からその木を毎日のように見ていたという。その木が何の木なのか知りたくてこの本を読んだのだが、マロニエ(セイヨウトチノキ)だった。その木は老朽化して倒れてしまいすでにそこにはない。しかし、その苗木は世界の各地に移植されていて日本にも来ているそうだ。四季ごとに変化するマロニエを見ながら、アンネはいつか外界に出られる日を夢見たにちがいない。マロニエとよく似たトチノキを見ながら、いつか「日記」を読み直してみたい。

Sunday, December 5

かれえだに


かれえだにからすうりのみぶらさがるくさつたあとこそしようぶのときと

枯れ枝にカラスウリの実ぶら下がる腐つた後こそ勝負の時と

用賀あたり。クワの枯れ枝に絡みついているカラスウリの実。それぞれ色づいているが鳥が食べる気色はない。その実が腐って中の種子が出てきたときに、その形がカマキリの頭に似ているので鳥が食べるのだという。なんともまわりくどい種子散布法だが、それが理にかなっているのだろう。

Saturday, December 4

こはるびを


こはるびをせなかにうけてぐちをきくわたしはそつとふぢだなをみる

小春日を背中に受けて愚痴を聞く私はそつと藤棚を見る

兵庫島のベンチで。同じ立場であればその愚痴に私も心が動いたであろう。愚痴は悪口ではないが、やはりどこかでそれは止めなければならない、無限のループに陥る前に。枯れかかった藤棚をそっと見上げた。


うまれてもひたすらたへてしゆしのこすそれもいつしやうなづなのやうに

生まれてもひたすら耐へて種子残すそれも一生ナズナのやうに

『したたかな植物たち』を読む。ナズナは、秋冬はロゼットで地面に張り付いて寒風に耐え、春になると大急ぎで茎を天に伸ばし花を咲かせ種子を残してあっという間に消えていく。短い波乱の一生だという。(個体によっては秋まで花をつけているノンビリ屋さんもいるらしいが・・)

Wednesday, October 6

えごのきの


えごのきのこずゑにひよどりなきさわぎそのみはわれてたねおちんとす

えごの木の梢にひよどり鳴きさわぎその実は割れて種落ちんとす

エゴノキの実は有毒。ヤマガラは上手に実を割ってその種を食べると言うが、ヒヨドリは実が落ちるのを待っているのだろうか。

はのみにてそのくさのなをしるはかたくたまさかはなのさくをみてしる

葉のみにてその草の名を知るは難くたまさか花の咲くを見て知る

ずっと気になっていた大きな葉。あれでもないこれでもないと思いながら半月。やっと花が咲いている葉を見つけた。ボタンクサギらしい。

Wednesday, September 15

やさいとて


やさいとてたねからたねへとゐでんしをつなぐしよくぶつかんしやしてたぶ

野菜とて種から種へと遺伝子をつなぐ植物感謝して食ぶ

『種から種へ 命つながるお野菜の一生』という本を読んだ。野菜もまた肉のように「命」をいただいている。


びるのかべをこえんとのぶるこずゑのはよらねばしらずかつらのきとは

ビルの壁を越えんと伸ぶる梢の葉寄らねば知らず桂の木とは

いつも食事しながらぼんやりと見る前の広場の木。近寄ってはじめてそれがカツラの木だとわかった。