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Monday, April 4

散る桜

ちるさくらながむるたもなくつよきあめいちにちふりしきさくらもわする

散る桜眺むる間もなく強き雨一日降りしき桜も忘る

今日は一日中冷たい雨が降り続いていた。桜の散り際を眺める余裕もなく一日が終わってしまった。

春の心は長閑ではいられない。

Sunday, January 16

まつしろに


まつしろになつてもにらのがくちらずわづかにのこるしゆしなほいだく

真つ白になつてもニラの萼散らずわづかに残る種子なほ抱く

用賀あたり。秋に白い花を咲かせていたニラも今は白骨のように真っ白。それでも萼にはまだいくつか黒い種子を残している。白と黒のコントラストが美しい。が、ニラにしてみたら、大切な種をできるだけ遠くに飛ばそうとチャンスを伺っているに違いない。Ha en bra chans!

Friday, December 31

かなあみに


かなあみにまつばいくつもはさまつてかぜにふかれておほみそかです

金網に松葉いくつも挟まつて風に吹かれて大晦日です

いよいよ大晦日。寒いなか近くの本屋まで歩いていると金網にたくさんの松葉の又が挟まって風に吹かれている。なるほど金網が柵か。


しゆしじゆくすときまでちらずかれはたちかぜきてしゆしとさいごのたびへ

種子熟すときまで散らず枯葉たち風来て種子と最期の旅へ

『足元の小宇宙』を読む。著者の埴沙萠さんはすでに亡くなっているが、一生を植物研究に捧げた人物。ケヤキの枯葉はすぐに散らずに、種子が熟したときに枝から離れて、ひとかたまりになって羽の役割を果たして種子をできるだけ遠くに運ぶという。進化のしくみと言ってしまえばそれまでだが、我々の愛情ももとは単純な「しくみ」かもしれない。

Sunday, December 12

さるすべり


さるすべりはだかのえだのしゆしたちはかぜまちとりまちふたまたかける

サルスベリ裸の枝の種子たちは風待ち鳥待ち二股かける

サルスベリの街路樹。すっかり葉を落とし種子がたくさん残っている木もあれば、ほとんど残っていない木もある。種子の翼を使って風に乗って飛ぶか、鳥に食われるのを待つか、それぞれの木の戦略があるのかな。


まどのそとまろにえのはなさいてちりしげりのはもおちあんねはのぞむ

窓の外マロニエの花咲いて散り繁りの葉も落ちアンネは望む

『アンネの木』という絵本を読んだ。アンネ・フランクが1942年7月から1944年8月まで暮らしたアムステルダムの隠れ家の裏庭には一本の木があった。アンネは窓からその木を毎日のように見ていたという。その木が何の木なのか知りたくてこの本を読んだのだが、マロニエ(セイヨウトチノキ)だった。その木は老朽化して倒れてしまいすでにそこにはない。しかし、その苗木は世界の各地に移植されていて日本にも来ているそうだ。四季ごとに変化するマロニエを見ながら、アンネはいつか外界に出られる日を夢見たにちがいない。マロニエとよく似たトチノキを見ながら、いつか「日記」を読み直してみたい。

Wednesday, December 8

けさのんだ


けさのんだびたみんえーのせいなのかいちやうのくわうえふやけにまぶしい

今朝飲んだビタミンAのせいなのかイチョウの黄葉やけに眩しい

サプリメントの効果というのはなかなか実感できないのだが、私の場合ビタミンAは別格で、飲むと色が鮮やかに見えるようになるようだ。


あめにちるいちやうのらくえふふぜいありなどといふひとさうぢしたら

雨に散るイチョウの落葉風情ありなどと言ふ人掃除したら

落葉があるところには掃除人あり。掃いても掃いても落ちてくる落葉は面倒なもの。とりわけ雨後のイチョウの葉は路面にこびりついて大変らしい。

Saturday, November 6

ぎよしうなら


ぎよしうならちるつばきよりしろふようそのはのかそけさもうしびれます

御舟なら散る椿より白芙蓉その葉のかそけさもうしびれます

山種美術館で速水御舟の絵を観てきた。重文の「名樹散椿」や「炎舞」は確かに圧巻だったが、私の好みは「白芙蓉」など繊細な小品だ。


けふちくたういつまでさくかばかかともいはれてもよいふゆまでさけよ

キョウチクトウいつまで咲くかバカかとも言われてもよい冬まで咲けよ

恵比寿。立派な門前にキョウチクトウの白い花が咲いていた。川柳など気にしないでいつまでも咲き続けてよいぞ、と励まし(?)の声をかけた。