Tuesday, December 21

かなあみに


かなあみにきのかたまりがのこつてるかれたさくらのせいれいみたいに

金網に木の塊が残つてる枯れた桜の精霊みたいに

二子玉川。金網に食い込んでいる木の塊。桜らしいが、おそらく枯れて本体は伐り倒されたのだろう。その太さと傾きから桜の樹形が偲ばれる。


しつぱいをのぞむからだがぐうぜんをよそほひこころをさいきどうする

失敗を望む躰が偶然を装ひ心を再起動する

いろいろな失敗。多くは偶然によって起きる。その偶然さえなければと悔しく思うが、その失敗がなければもっと酷いことが起こったかもしれない。失敗で元気になる人はいない。意気消沈は自分を取り戻す時間。

Monday, December 20

はだかぎの


はだかぎのかつらのおちばふとみればこうえふすすみてしんくとなりぬ

裸木のカツラの落葉ふと見れば紅葉進みて真紅になりぬ

烏山。広場のカツラの木もすっかり裸木になっている。足元を見ると真っ赤な落葉が何枚かある。カツラの葉だが落ちた後に緑から紅に変わったのだろうか。


えごのきのらくえふしだいにきにかはりえふみやくのみぞみどりのこれる

エゴノキの落葉次第に黃に変はり葉脈のみぞ緑残れる

エゴノキの葉も落葉が進んでいる。残っている葉は黄色だが、落ちている葉はまだ緑が残っている。おそらく緑のまま落葉して、クロロフィルを失って徐々に黄色に変わっていくのだろう。落葉の微妙な「もみじ」も味がある。

Sunday, December 19

はつごほり


はつごほりぼたんくさぎはとうしやうのゆびきるやうにくちばをおとす

初氷ボタンクサギは凍傷の指切るやうに朽葉を落とす

用賀。昨夜は初氷だったようだ。いつも見る道端のボタンクサギ。葉は黒く変色して凍傷にかかったような惨状。足元には落ちた葉が散らばっている。多くの草木が必死で寒さに耐えたにちがいない。

Saturday, December 18

いつぽんの


いつぽんのはだかぎなんのきだろうかたんていみたいにあしもとをみる

一本の裸木何の木だらうか探偵みたいに足元を見る

二子玉川。時間があったので河原に下りようとしたら前方に一本の裸木。いつも見ていたはずなのに急に気になった。何の木だろうか。幹や樹形では分からなかった。足元を探すとそれらしい落葉。風の冷たい午後。


たなごころてのこころならあはせればこころがかよふひとでもきでも

たなごころ手の心なら合はせれば心が通ふ人でも木でも

「たなごころ」は語源的には「手の心」。手のひらで命あるものにふれると「心」が通うような気がする。木の「手」は葉ではないだろうか。冬には落葉樹は手を引っ込め、常緑樹は手を握る。今日は整体の日。

Friday, December 17

げうさいの


げうさいのえがくゑすべてやくどうすひともけものもおばけもきまでも

暁斎の描く絵すべて躍動す人も獣もお化けも木までも

原宿の太田記念美術館で河鍋暁斎の「絵本」を観た。「北斎漫画」のような絵、いわば「暁斎漫画」だった。北斎とは違って描かれる対象がみな踊り狂うように躍動している。「ハイパー擬人化」の絵の世界。


くすのきのほんたうのかたちはどんなやらみきはいくつかえだどこまでか

クスノキの本当の形はどんなやら幹はいくつか枝どこまでか

明治神宮。木々がそれぞれ思いのままに枝を延ばしているが、あるクスノキは幹が4つに分かれて、枝はその下に道ができるほど横に延びている。もし、まわりに木がなければいったいどんな樹形になるのやら。

Thursday, December 16

ふみきりの


ふみきりのわきにはひとのなのついたぢざうぼさつとむらさきしきぶ

踏切のわきには人の名のついた地蔵菩薩とムラサキシキブ

烏山。小さな踏切のわきにある地蔵菩薩。いつも見ても手入れされている。人名がついているところをみると何かのいわれがあるのだろう。となりにはムラサキシキブが植えられていて枯れているがまだ実が少し残っている。このあたりには計画道路があるのだが、ここは大丈夫だろうか。


ばかなすとよばれるほどのばかでなしいぬほほづきはきやうじんなくさ

バカナスと呼ばれるほどのバカでなしイヌホウズキは強靭な草

線路脇の道。スキマを見つけてしっかり花をつけているイヌホウズキ。ナス科。有毒で強靭な雑草で人を悩ませるので「バカ」ナスとか「イヌ」ホウズキと蔑称される。草木たちには関係のない話。(後日見てみるとその姿がなかった。抜き取られてもまた再生するはず)

Wednesday, December 15

はいをくの


はいをくのかべにかいまでせりあがるやつではなさくしにどきしるや

廃屋の壁二階までせり上がるヤツデ花咲く死に時知るや

烏山。廃屋の壁にヤツデがよじ登るように丈を延ばして花をつけている。こんなに自由に育ったヤツデは初めて見た。これからも定期観察しようと思ったのだが、近くに掲示板があってどうやらここは計画道路に当たっているらしい。近くでは工事も始まっている。この木もやがて伐られてしまうようだ。残念至極。


かきのみにむらがりさわぐむくどりのたぜいにぶぜいでひよどりよれず

柿の実に群がり騒ぐムクドリの多勢に無勢でヒヨドリ寄れず

柿の実にムクドリが群がって騒がしい。近くでヒヨドリが一羽が威嚇の声を上げているが、たぶん近寄れないのであろう。乱暴者もカタなし。